(5)変わっていった

私が思うシンプルライフとは結局?

「何も持たない暮らしじゃない」
「何でも手作りライフじゃない」
「センスのいいおしゃれな暮らしじゃない」

じゃあ、何がシンプルなんだよ。

確かにそうなんです。何も面白くないですよね。
ここで言ったことをまとめると、

「そこそこ片付いてはいるけど、大してセンスがいいわけでもない」

ということになります。
そんなのバエないじゃん!? 

でも私、それでいいんじゃないかと思ってるんです。

「シンプルに、シンプルに」
と暮らしを変えていった頃は、
なるべくモノを減らして、生活感をなくして、
できればおしゃれにセンスよく……
と頑張っていました。

でも、私のセンスなんて知れたもの。
おしゃれを目指すのも、だんだん疲れてきました。

おしゃれとかもういい

そんなある日。
雑誌の編集者やライターの女性と、たくさんの素敵なインテリア写真を見ながら、
雑誌の企画について話していたときのことです。

その中の一人が、フフっと笑いながら、
「どれもおしゃれですね……。
 でもなんか最近私、こういうのおなかいっぱいで」
とつぶやきました。

すると、そこにいた全員が同時に、

「あーー。なんかわかるーーー」

と声を揃えたのです。

そこにいたのは、おしゃれで素敵なインテリアのお宅をさんざん取材している、
自身もおしゃれでセンスのいい女性ばかり。
なのに、その場ではなぜか、不思議な共感が生まれていました。

わかるわかる。
「ホラ、おしゃれでしょ、センスいいでしょ」
っていうの、実はだんだん疲れてくるんだよね。
私が抱いていた、言葉にならない気持ちが、
初めて言語化され、人と共有できたのがその時でした。

美人は似ている

美容整形が盛んな国では、
一般の女性も整形手術を受けることに抵抗がないと言いますね。

そんな国では、ミスコンテストのファイナリストが、
みんな似たような容貌になってしまう、
それは皆、同じモデルを目標にして、
同じ敏腕美容整形外科医に施術してもらうからだ……

なんていう話がまことしやかに囁かれたりします。

目や鼻の配列やバランスに「黄金比」なんていう言い方があるくらいだから、
美人は、どうしても似てしまうのかもしれませんね。

それと同じように、おしゃれなインテリアも、似通ってしまうのかもしれない。

「和モダン」ならこんな感じ、
「北欧テイスト」ならこんな感じ、
「ミッドセンチュリー」ならこんな感じ、
ある程度「正解」があって、それが心地よさの理由なのですから。

ただ、そういう「正解」ばかりを見ていると、
ちょっぴり疲れてくるのはなんでだろう。
ミスコンで似たような美人ばかり続けて見ているうちに、
誰が誰だかわからなくなってしまうようなものかしら。
それがあの時の、編集やライターたちの本音だったのかもしれないなぁ。

その会話に立ち会ったのは10年くらい前だったと思いますが、
それから自分の中の何かが、少しずつ変わっていきました。

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