(4)手作りライフでも、おしゃれライフでもない

何でも手作りライフでもない

昔のアメリカのシンプルライフについて書かれた本を読むと、
「自給自足への憧れ」「豪華さや人工的なものに眉を顰める」
みたいな記述がちょいちょい出てきます。

(宗教的に)退廃した英国を逃れ、新天地でスッキリサッパリ、
清貧のライフスタイルを実現するぞ! 
という意気込みがあったのでしょうか。
もちろんそんな意気込みはアッという間に消し飛んで、
何度も何度も「シンプルな暮らしに回帰しよう!」
って言い続けることになるんですけども。

そんなアメリカのシンプルライフといえば、
NHKでも繰り返し放映されていた『大草原の小さな家』を思い出します。
ナンもない大草原で、家族全員支え合って土地を開墾し、
何でも知恵と工夫で手作りしつつ、
貧しいながらも豊かな生活を築き上げるワイルダー家の姿に、
強い共感を覚えた人は少なくないでしょう。

同様に、根強い人気を誇る画家、ターシャ・テューダーさんも、
美しい庭園だけでなく、
シャツを作れば糸から紡いじゃう究極のナチュラルライフを送っていました。

山奥のポツンと一軒家で、家はセルフビルド、米も野菜も育て、
鶏を自分でつぶす生活っていうのも(ちょっと憧れるけど)、
そんな技術も体力もありません。梅干や部屋着ぐらいは作るけど、
梅は道の駅で買うし、生地は日暮里で、型紙だってネットで買っています。
イオンやホームセンターにもお世話になっています。
そういう意味で、ごくごく中途半端なライフスタイルではあります。

「すべて高品質なお気に入りに囲まれた暮らし」でもない

美意識の高いセレブな人たちが提案するするライフスタイルに、こういうのがありますよね。家具調度や台所で使うもの、身に着けるものも、
デザインが優れていて、品質が高いものばかり。
「なぜこれを使っているのですか?」と聞かれれれば、
すぐに明快な答えが返ってくるものばかり。カッコいい!!

でも、私は普通の人なので、「なんでこれを?」と聞かれても、
必ずしも答えられないことがあります。

「なんでって……昔、友達にもらって何となく」
「実家に余ってた」
「買いに行ったらこれがいちばん安かった」

とか、そんなカッコ悪い答えだったりすることも。

でも、自分なりにはまあまあ使い勝手が良くて、それで足りているし、
別に困ってない。
考えに考え抜いて手に入れることもたまにはあるけど、そうでもないものも多い。
考えに考え抜いて手に入れたって、
使っているうちにだんだん合わなくなってきたりもするし。

そりゃおしゃれな方がいいっちゃいいけど、
暮らすことって、別におしゃれが目的じゃないんですよね……。

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