川が好き

川のある町に育った。

海なし県なので、水辺というと川。
左岸に住んでいたので、川は右から左に流れていくものだった。
対岸から同じ川を見て、左から右に水が流れていくのを見て違和感をおぼえた。

川というものは、止まることがない。

いつでも(私の住む土地では)水は右から左に流れていった。
子供の頃は、親に連れていってもらい、川で水遊びをしたし、
近所の人たちとバーベキューをした。
鮎を獲る仕掛けの“やな”のある場所にも行った。

川は夏だけ行くところだった。

少し大きくなると、友達と河原に自転車で行き、
他では言えないおしゃべりをしたり、大きな声で叫んだり、歌ったりした。
丈の高い枯草ばかりになった秋の河原は、
思春期の恰好の遊び場だった。

川のある町を出て都会に移り住んでからは、
川に行くことがなくなった。
都会の川は、コンクリートに固められて、ちっとも川のようではなかった。
川に近づかず町の中だけで暮らしていると、
空を見ることがない。

結婚して子供が生まれ、郊外に家を買うと、また川が近くなった。

この町は川のない町だけど、ちょっとクルマで遠出をすると、
いろいろな川を見に行くことができる。
大人になってから見る川は、子供の時遊んだのと同じ、懐かしい顔をしていた。

川に行く人は少ない。川にいると、広い空が見える。
そこで草を摘んだり、川伝いに歩いたり、
橋から川を見下ろしたり、舟に乗ったり、
昔よりもっといろいろな形で、川を楽しむようになった。

今年は、そんな楽しい川の思い出を書き留めていきたい。

川が好き」への2件のフィードバック

  1. chie

    こんにちは。 以前「やる気のでる曲」でお邪魔したものです。
    金子さんもご存知かもしれませんが、かこさとしさんの「かわ」という本があります。
    このブログでひさしぶりにまた開いてみようと思いました。

    返信
    1. カネコ 投稿作成者

      chieさま、お久しぶりです。
      「かわ」、読んだことがないので手に入れたいです!
      かこさとし先生は技術者なので、本格的なんでしょうね~。
      情報ありがとうございます。

      返信

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