支援校の教師になった夢

健常児と障害児のインクルーシブ教育をしている学校で働いている。
今日は学習の成果を舞台上で発表する日である。

わたしのの担当する重度障害を持つ女の子も、
辛うじて他の子と舞台に上がれる成果を得た。

しかしいざ舞台に上がるとその子は、這って下手のカーテンの陰に入ってしまう。
せっかく晴れてみんなの前で発表できるのになぜ……

その時なぜか彼女の心の中が見えるようになった。
言語を通じたコミュニケーションができない彼女だが、
ちゃんと自分の意思と考えを持っている。

彼女は舞台に上がったことを喜んでいた。
しかし、自分が観客席に見えるかどうかはどうでもいいと思っていた。
両親や教師を喜ばせようなどとは微塵も考えていない。

彼女の精神は透徹しており、自分が遠からず死ぬことも知っていた。
しかし、それさえもどうでもよいと考えている。
今現在のことしか考えていない。

音楽が始まり、舞台上の子供たちは歌ったりセリフを語ったりしはじめた。
彼女は、自分のパートであるダンス(うつ伏せになって体を動かすだけだが)を始めた。

彼女は喜んでいる! 
他の子と同じ音楽の中で、同じ時間を生きることを楽しんでいる!

それがわかって私は「成果を見せたい」などと思っていた自分の身勝手さ、
浅はかさを思い知り、同時に彼女の感じている喜びを一緒に感じ、
泣きながら目がさめた。

(舞台袖にうずくまる彼女の前に、なぜかタッパーに入ったお粥が置かれていた)

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