神田川クルーズ

5月の晴れた平日、念願の「神田川クルーズ」に乗船してきました。
「♪お江戸日本橋」の日本橋の船着場から乗船して日本橋川を進み、
後楽園の手前で神田川に入り隅田川から戻る、
都心を川で一周するコースです。

以前NHK『ブラタモリ』でも、
タモリさんが同じコースを楽しむ様子が放映されました。

この日は潮目の関係で、
いったん隅田川に出てから神田川経由で日本橋に戻る、
という逆コース。

定員50名くらいの小型遊覧船はこの日満席でした。
近い将来撤去されて地下に移設されるという首都高速の下を、
船は進みます。
ガイドは下町のノリの元気なお父さん。
名調子に時折爆笑が沸きます。

鎧橋、霊岸橋のあたりは立派な企業ビルの並ぶエリア。
隅田川に入ると潮の香りが濃くなって、さまざまな船が行き交います。
芭蕉の像の見える深川あたりを過ぎ、
両国橋をくぐったあたりで神田川へ左折。

今も残る船宿や屋形船がひしめく柳橋あたりは、
水彩画のような風情があります。

秋葉原のあたりからだいぶ殺風景になりますが、
お茶の水にさしかかると、JR総武線と丸の内線に聖橋が交錯する、
鉄道ファンに人気のエリアです。

その昔は観光地として賑わった渓谷美のなごりも見られ、
ここでは皆がシャッターを切って(スマホだけど)いました。

この先からは正直、水が汚く、臭いもほめられたものではありません。
というのも、前日や前々日に降った雨のため、
下水の水量が増え、川に汚水を流しているからだそうです。
(合流方式)

昭和の名曲『神田川』のうらぶれた雰囲気は、
今よりもっとひどい悪臭を放っていた神田川に面した部屋に住んでいた、
若い男女の終わった恋を歌っていたからだったのですね。

白山通りを渡す水道橋では、衝撃的なものを見せてもらいました。
太平洋戦争当時、都内を襲ったB29による機銃掃射が川の護岸に開けた弾丸跡と、
水道橋の鉄の床板に今も大きく残る迫撃砲の穴です。

当時も小さな町工場が並び、大学も多かったこの地に、
こんな攻撃がなされていたこと、
そしてその傷跡の残ったままの橋や工作物が、
70年が過ぎた今もそのまま使われていることに驚きました。

ここから船は日本橋方向に戻り始めます。
俎橋を過ぎたあたりから、進行方向右側に江戸時代の石垣が見え始め、
近くに寄ると、石の表面に「島津」「前田」など、各大名の刻印を見ることができます。このあたりの積み方は「打ち込み接ぎ」とのことでした。

常盤橋は、道路橋と人道橋と両方あって、
人道橋はきれいにリニューアルされ、
傍らにはおしゃれなビルが立ち並んでいます。
すぐ近くに渋沢栄一翁像もありました。
ここから終点の日本橋はもうすぐ。

一周90分、ガイドさんの飽きさせないトークとともに、
じゅうぶん楽しめました。
川から眺める東京、いつもと全然違うものが見えます。

この日は暑いくらいでしたが、風のある日、空模様の怪しい日は、
ビニール合羽などご用意してご乗船を。
(安全と他のお客様の視界を確保するため、傘・日傘はNG)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です