『頭山』

今週のBS朝日『おなじはなし寄席』のお題は『頭山』。

昔、ラジオか何かの録音でこのはなしを聞いたとき、
すごく気に入って、また聞きたいと思っていたので大喜び。
江戸落語からは春風亭一朝、上方からは笑福亭鶴笑の両師匠。
上方では「さくらんぼ」というタイトルなのだと。

2人とも、
「このはなしはあんまりやらないんですよ」
「お客がついて来れないから……」
となんだか及び腰で、意外。

江戸先攻で上演されたが、なんだかしっくりこない。
とても丁寧な語り口で、テンポも良かったんだけどなんだか違う。
「ケチ男」の描写があまりにも薄くて、
何の噺をしているんだかだんだんわからなくなってしまった。残念。

上方なら!と引き続き聞いていると、なかなかいい。
昔聞いたときも、ポンポンポーーンと、
考える隙を与えないハイペースな語り口だったように思う。
物理や理屈がどうでもよくなるテンポってあるよね。

でも、終わったかに見えたその瞬間、
なぜかパペット落語が同じはなしをもう一度頭から……。
これにはちょっと引いたわ。
なんでそんな必要がある??

「種ごとさくらんぼを食べたケチ男が、
種を吐き出すのがもったいないと飲み込んでしまったために、
体の中から桜の木が育ち、頭に桜の木が生えて花が咲き、
そこが花見の名所となって連日の大騒ぎ、
やかましいのに腹を立てたケチ男、桜の木を抜かせてしまう。
すると折からの大雨が抜いた跡にたまり、大きな池に。
今度は釣りの名所となって再びの大騒ぎが頭の上で起こることになり、
愛想をつかしたケチ男、自分の頭の池にドボンと身を投げてしまった」

あまりにもシュールで、確かについていくのは容易ではない。
噺としてすごく面白いわけでもない。
これを面白くするのはひとえに噺家の腕で、
だからこそ私が昔聞いた噺家さんはすごい人だったんだろうと思うが、
あのパペットはないわーー。
噺だけでそこそこ面白かったのに。

説明なんかしなくていいじゃんね?
わからない人は置いていけばいいんだ。
全員が隅々までわかるように話したら面白くない噺なんだから。

ギャグを丁寧に説明されるほどしらけることはない。
なんだかわからないけど面白かった、でなんで悪いんだ。

枝雀、雀々の音源がネットに残っていたので聞いてみたけど、
私が聞いたものとは違うみたい。そもそも、「さくらんぼ」じゃなくて、
「頭山」だったから上方じゃなかったし。
あれ、誰だったのかなーー。

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