川と自然」カテゴリーアーカイブ

街よりも自然の中が好き。特に川に惹かれます。土木ネタも混ざります。

川の合流点探訪・岩淵水門

川の合流点探訪2023第二回は、
「岩淵水門」。東京都北区にある、荒川と隅田川を隔てる水門です。

大正13(1924)年に建造された旧水門(赤)は、昭和57(1972)年完成の現水門(青)にその役割が引き継がれ、隅田川を水害から守っています。

ここは都内のそれも23区内ということもあり、よく整備されていてキレイ。何にでも案内板が設置されていて親切です。隣接して「荒川知水資料館Amoa」もあり、川好きには楽しい場所です。

ただ、クルマで行くと、表通りからのアプローチが複雑怪奇で困惑するかも! 水門方面に入っていくスロープは、一見自動車が通れるようには見えないので注意。そして多分1キロ四方には自販機しかありません。

河川敷に緑が生い茂る荒川は、流路を変えられた人工の「放水路」で、矢板で土留めされただけのように見える隅田川の方が自然の姿をとどめているというのが驚きです!

荒川のほとりの春

知り合いの編集さんに声をかけていただいて、
荒川のほとりの古民家で春の摘み草体験に行ってきた。
「カネコさんこういうの好きでしょ!」
ありがたい! 言いふらしとくもんだなぁ。

もともとは農家の作りの建物を、
イベントの設営などを手掛けるご主人が、
美術さんとしての腕を活かし、
素敵にリノベーションしている最中だそう。
宿泊できるのは秋からとのこと。

この周辺の景色が、まあ控えめに言って天国というか、
私は何度も、
「あれ? 私死んだんだっけ?」
と頬をつねりそうになるほど、夢のように美しい場所だった。

桜に新緑の混じる時期のこと、
日に日に伸びる野草も木々の新芽も透けてやわらかく、
菜の花、タンポポ、カラスノエンドウ、
にハコベとあらゆる花が咲きそろい、
その中を参加者のお子さんたちがかわいらしく駆けずり回り、さながら天使のよう。

しかも今回は、なんと植物学の研究者が同行してくれて、
摘み草のアドバイス、参加者の質問に答えてくれるという、
非常に贅沢な回だった。

妖精じみたその男性はまさに生きた植物事典で、
「先生! この草なんですかぁ!」
と質問攻めにしては的確な回答をいただき、
楽しさ倍増なのだった。

みんなで摘んだ花や草を古民家の庭でてんぷらにして、
うどんに載せていただいた。
菜の花もタンポポもスミレも、
花がそのまま食べられるなんて知らなかった。
アクも草臭さもなくおいしい!

今まで利根川周辺に行くことが多かったけれど、
荒川もいいところだなぁ。
あー、川の近くに住みたいよ。

丘の上の塔

時々通る道から見える、不思議な塔。
あれ何だろと前から思っていて、
ようやく昨日行ってみた。

「羽鳥調圧塔」


千葉県佐倉市の羽鳥地区の小高い丘の上に立っている。
利根川~印旛沼の水を、
五井姉崎(東京湾内房方面)の工業地帯に供給するための施設の一部らしい。

鋼鉄製高さ42m

印旛沼の水は、製鉄所で出来立ての鉄を冷却するのに使うと聞いたことがある。
その時は、
「製鉄所って海辺なんだから、水いっぱいあるじゃん」
と思ってすぐに、
「あっ、塩水か……」
と反省した記憶がある。

遠目にも風変りなこのフォルム、
どこかで見た気がすると思ったら、
内房富津の丘の上に立つ東京湾観音に似てる。

高さ56mコンクリート製

よく見ると、塔の頂上には四方を見渡せそうな窓がついていて、
ちょっと面白いロボットみたい。
あそこに上がってみたいな~。

合流点探訪 利根川×渡良瀬川

早春恒例、川の合流点探訪に行ってきた。
今回は渡良瀬川と利根川の合流点。

合流点って、地図で見ても何もないし、
航空写真やGoogle Mapに道路は写っているけど、
それがクルマで入っていける道路か、行けても停められる場所があるか、
なかなかわからない。

なので、大事を取ってやや離れた安心な場所にクルマを停めて歩き出すのだが、
今回はその距離がだいぶ長い。

おまけに、この日はよく晴れて一見暖かそうなのに、
実は寒風吹きすさぶ典型的な冬型の気圧配置。

室内が暖かいものだから、
ついうっかり装備を軽めにしてしまったのが仇になった。
現場は、埼玉ー群馬ー栃木の3県境の近く、
赤城おろしがうなりを上げる関東平野のど真ん中である。
さえぎるものとてない。

合流点は水防の重要拠点なので、どこもだいたい何らかの工事をしている。
看板を見ると、最近よく聞く無人操縦の重機などを駆使しているらしい。

巨大なスーパー堤防を乗り越え、行けども行けども水辺にたどり着かない。
渡良瀬川側にも、利根川側にも近づけない。
広大な河原には、3メートルはある葦が枯れたまま突っ立ち、
行く手を遮る。足元は分厚い枯れ草で覆われ、
どんなトラップがあるかわかったもんじゃない。

歩き疲れたのと吹き飛ばされそうな風の中を何十分も歩いたのとで疲れ果て、
私にしては珍しくギブアップ。
帰りの体力も残して置かなければならないからね。

すぐ近くの渡良瀬遊水地にも行ってみたけど、
とにかくこの日は寒くて閉口した。もうちょっと暖かい、
せめて風のない日にまた来たい!

川が好き

川のある町に育った。

海なし県なので、水辺というと川。
左岸に住んでいたので、川は右から左に流れていくものだった。
対岸から同じ川を見て、左から右に水が流れていくのを見て違和感をおぼえた。

川というものは、止まることがない。

いつでも(私の住む土地では)水は右から左に流れていった。
子供の頃は、親に連れていってもらい、川で水遊びをしたし、
近所の人たちとバーベキューをした。
鮎を獲る仕掛けの“やな”のある場所にも行った。

川は夏だけ行くところだった。

少し大きくなると、友達と河原に自転車で行き、
他では言えないおしゃべりをしたり、大きな声で叫んだり、歌ったりした。
丈の高い枯草ばかりになった秋の河原は、
思春期の恰好の遊び場だった。

川のある町を出て都会に移り住んでからは、
川に行くことがなくなった。
都会の川は、コンクリートに固められて、ちっとも川のようではなかった。
川に近づかず町の中だけで暮らしていると、
空を見ることがない。

結婚して子供が生まれ、郊外に家を買うと、また川が近くなった。

この町は川のない町だけど、ちょっとクルマで遠出をすると、
いろいろな川を見に行くことができる。
大人になってから見る川は、子供の時遊んだのと同じ、懐かしい顔をしていた。

川に行く人は少ない。川にいると、広い空が見える。
そこで草を摘んだり、川伝いに歩いたり、
橋から川を見下ろしたり、舟に乗ったり、
昔よりもっといろいろな形で、川を楽しむようになった。

今年は、そんな楽しい川の思い出を書き留めていきたい。

アウトドアおば(あ)さん

コロナの日々が始まって、あってよかったなあと思うのはLINE。
ZOOMのようなツールを使ったオンライン飲みやオンラインイベントは、一度やったらもういいやという感じで続かなかった。
LINEは文字だけ(スタンプも使うけど)なのがいい。
相手がオンラインではなくても、置手紙のように届けるだけ届けて、相手がヒマになったとき返信してくれるから、お互い気を使わなくて済む。
この1年以上会っていない人が多いけれど、LINEのお蔭で近況を把握できているし、写真や映像のやりとりも楽しい。
特に妹とは、毎日のようにLINEしている。

3人の娘を全員独立させた妹は、生協の役員で忙しいものの、気楽な日々。なかなか訪ねていけない実家の母が主な話題だが、お喋りのテーマは多岐にわたる。
妹の趣味の観劇、私の最新の趣味の洋裁、晩のおかずについて、物価について、それぞれの住む地域での出来事についてなどさまざま。
どうしても出てくるのが、老後に関する話題だ。
現実には、お互い夫がいる身分なのでそうそう自由がきくわけではないが、
「もし何のシバリもないと仮定して」
老後はどこに住みたいか、何をして過ごしたいか、どう葬られたいかなどについて、とりとめもなく会話する。姉妹なのでへんな気を使わなくて済むところがいい。

私の理想は、漁港に近い農村で新鮮素材を使って料理三昧の暮らし。外房や南房総、伊豆なんかが理想。でも夏は涼しい山の上に住む、という贅沢なもの。
妹の理想は観劇三昧だから、できれば都会に出やすいところ。関西もいいな。

妹のダンナさんはやさしい人で、妹の観劇にもよく付き合ってくれるから、理想の老後はもう実現できたようなものだが、うちのオトーサンは田舎暮らしにはピンと来ないインドア派。私が好きなキャンプやアウトドアには全然興味がない。唯一、音楽が共通の趣味だけど、ジャンルは微妙に違うし。

私は体がきくうちは、オトーサンを置いて一人でアウトドアおば(あ)さんをやるしかないなあ。
でもまあ、それもいいか。あと10年はそれができるように体を鍛えておかなくちゃ、と思っていた矢先のコロナで、できる期間が減ってしまった。こうなったら、減った分を取り戻すべく、活動できる期間をできるだけ延ばすしかない。

今年の桜

今年も、友達と集まっての花見はできない。
なので近場の桜を一人で観に行った。
サンドイッチ作って、
小さい折りたたみ椅子を持って。

いつもは花見で浮かれる場所も、
今年は皆歩きながら写真を撮るばかり。

でも、私のようなソロ花見おばさんが三々五々、
ひっそり物陰から花を見上げていた。

いや、意外といいんじゃない、こんなのも、静かで。

国道14号と東関道のクロス地点

オトーサンと休日のふたりブラタモリごっこ。
以前からずーっと、ここの構造どうなってるのか知りたかった、
国道14号に東関道がかぶさる西千葉警察署交差点付近を歩いてみた。

14号下り線の中央分離帯は、花見川を過ぎたあたりからフェンスが立てられ、
急に植栽が鬱蒼とし森林の様相を呈してくる。
何人も立ち入ることのないフェンスの中のあの森はどうなっているんだろう。
無軌道に高木化したかに見えるあの植栽は、
まともに管理されているんだろうか。
ほったらかしていたらああなってしまって、手がつけられないのだろうか。
一昨年のような台風によって倒木が発生したら、
14号はどうなってしまうのだろうか。

私が心配する必要は1ミリもないのだが、気になって仕方がない。
ネットの地図や航空写真を見てもよくわからないし、
通る時も自動車の速度では碌に観察できない。
なので今日はクルマを下りて徒歩で観察してみた。

千葉西警察署交差点を、14号の上り車線に向かって歩こうとすると、
歩道はそこで寸断している。事実上の自動車専用道路だ。
「これじゃ森の中が見られないじゃん」
憤慨しつつ横断歩道を内陸に向かって渡ると、
渡り切った地点には東関道の橋脚がズドンズドンと生えていて、
そのふもとに、地味な歩行者用の道路が通っている。
本線とは離れているが、14号に平行する、これが歩道代わりだ。

中央分離帯の中に入ったり、近寄って見ることはできないので、
この道を少し歩いて北上し、
14号と東関道両方にまたがる検見川陸橋に上がって中央分離帯を観察することにした。
ここを徒歩で通るのは初めて。

右手が私の気になる中央分離帯森

上から見ると、中央分離帯――といってもこのあたりからは、
東関道が上にかぶさってくるのですでに中分の体をなしていないが
――の幅は思ったより広くはなく、
私が妄想していたような密林になってはいなかった。
超高木化したかに見える樹木は、実際はそれほど高くなく、
目測でせいぜい7、8m。
植栽部分は3車線ぶんぐらいありそうだが、東関道の遮音壁もあり、
実際はそれほど広くなく、木々が葉を落としたこの季節は、
林床が見える箇所もある。

樹種はよくわからなかったけれど、シラカシ、モチノキ、
ユズリハあたりが多かった。勝手に生えてきたものではなく、
植栽としてちゃんと選んで植えたもののようだ。
下草もある程度刈られていて、決してほったらかしではない。
さすが二桁国道、私が勝手に思ったようなジャングルなんかではない。
(夏はまた違うかもしれない)

この少し手前から、14号の上下線に東関道がはさまってくる。植栽は、その振動や騒音を吸収する目的もあるらしい

上空(?)から眺めることで疑問が解消され、
満足して今来た交差点に戻る。
行きとはルートを変え、14号の旧道(駅でいうと検見川/新検見川)
を使った。かつての漁村の面影がわずかに残っている。
昔は、現在の14号から向こうは遠浅の海だったのだろう。
通りに面した家々のすぐ後ろは急峻な崖で、
その端には「急傾斜地崩壊危険区域」の表示もあった。

昭和の面影をとどめる木造平屋住宅や、使われていない井戸の残る通り。昔は商店街だったらしい

崖の表面を覆うコンクリートの堅牢な擁壁。
表面の謎の突起は、PCアンカーの先端を隠すため(オトーサン解説)。
勾配が急すぎて、アンカーを打たないともたないからとのことだった。

足をかけて登るためにしては中途半端な位置にあるこの突起(上の突起が私の身長くらい)の下には、擁壁に対して垂直に打たれたアンカーの先端が隠れている(多分)

旧道にはゴミひとつ落ちておらず、
路傍のお地蔵様の祠はきれいに掃き清められ、生花がふんだんに活けてある。
今なお残る住民の結束と信仰心の厚さを物語るようだった。

崖の下の祠。仏花の束が3つも活けてあり、大事にされているお地蔵様

小貝川の火入れ

先日、利根川の支流のひとつ、小貝川河川敷で行われた火入れを見学してきました。
東邦大理学部や茨城県立自然博物館などの研究者、
地元の自然愛好者団体などが行っているものらしく(よくわかってない)、なかなか大規模。

小貝川の河川敷。意外に広く、一部森林化していて、川本体は見えない

今回火入れ(昔は野焼きって言ってたけどな)をするのは、
このエリアに残る希少植物のヒメアマナやタチスミレを活性化させるためらしい。

昔は春先、畦道なんかよく焼いてた。あれは害虫駆除のためと思ってたけど、
河川敷を焼くのは、本来そこに育つ有用植物(屋根材としてのカヤなど)を採取しやすくするため、
河川敷を遷移による森林にさせないためだったらしい。真岡や上三川あたりの鬼怒川だと、
ゴルフ場や公園になってる場所以外はまるでジャングルで、
川の水なんて橋の上からしか見えないもんね。不法投棄だらけだし。

チェーンソーで払った枝を運びやすくカットする人、それらを搬出する人、刈払い機で下草を刈る人でいっぱい。人手のかかる作業。

茨城県の水海道市にある当該河川敷にたどり着いたら、すでに沢山の人達がチェーンソーによる伐採
、枯草を刈るなど作業していた。我々も落ち枝の搬出などお手伝いしてみる。
ここ、冬の今こそ作業もできるけど、夏は繁茂する背の高い草や蔓性植物で、
足を踏み入れることもできないに違いない。

燃料はカセットボンベのトーチを手に、風下に立ち火をつけていく。風向きが変わったらタイヘン!!

さっぱりとした木立やカヤの茂みに、風向きを見ながらトーチで火をつけていく。
火は一瞬でパァっと燃え広がるが、地形の高低差に阻まれて止まってしまったり、
なかなか「燎原の火」とはいかないみたい。延焼を防ぐため、水のパックを背負った消火部隊も暇そうだ。

火が広がっていく様子はドラマチック! でも、けっこう途中で消えてしまう……
枯草だけど背が高いので、茎の太いところまではなかなか燃えてくれないよう。

地元のおじさんと話していたら、
「カヤは背が高いかん、いったん地面に倒してやんないとなかなか燃えねんだよな…」
と呟く。でもカヤ、2mぐらいあるし硬そうだし、ローラーでも持ってこないとムリそうだな…

自然愛好者団体の女性は、とても楽しそうに眺めながら、他地域の団体のお仲間と情報交換。
若い子はだいたい、学生か研究室のOB、OGで、火をつけたり火を消したり忙しい。
チェーンソーや刈払い機を操作しているのは地元の自治会の人かな?

聞いてみると、この広大な河川敷のほとんどは誰かの私有地で、だから管理もまちまちなのだそう。
確かに、草も木もなくきれいな野原になっているエリアもあれば、ジャングル化しているエリア、
そうかと思えば耕作地として利用されてきるエリアなどさまざま。

国道側からはまったく見えない水面。鳥や魚はたくさんいるけれど、秋の台風の影響かプラスチックゴミが多かった。

このあたり、実家への往復でいつも通る場所だけど、高い堤防に阻まれてどこに川があるのかわからなかった。
今回場所もわかったし、希少植物見てみたいけど、保護のためむやみに立ち入っちゃいけないみたい。
でも、水辺に行ってみたら魚が跳ねたから、釣りならいいかも?

「東京 橋と土木」展(新宿)

今週末のお出かけはドライブじゃなく、新宿駅西口広場で開催されている「橋と土木展」を観に来た。

力の入ったパネル展示に、模型や実物展示、講演もある! 川と橋の街・東京ならではの充実した内容。

関東大震災で炎上(当時は床版が木造)した永代橋の一区間をリサイクルして南高橋にしただとか、明治〜大正にかけての橋梁のデザインの変化とか、PC橋の構造とか、なかなか面白かった。

いちばん感動したのは、手描きの図面! 緻密で正確で美しい。今はCADが当たり前の製図も、昔はロットリングかなんかで描いてたんだもんね。

千葉工大の八馬智先生の講演は立ち見が出る大盛況。各国の橋のデザイン、見どころについて。面白そうだったのはオランダ。「国土がだいたい墨田区(ゼロメートル地帯)で橋はいっぱいあるけど、デザインが突き抜けてる」。

地震のシバリのある日本では軽やかなデザインは難しいようだ。と言っても地域によりいろいろ。橋巡りの旅面白そう。