川の見える店 その3「たいめいけん」

店内から川が見える店を見分けるのは難しい。
でも、この店なら一目瞭然。
日本橋川に張り出したテラスが、日本橋の上もからよく見える。
色黒のシェフで有名な洋食の名店「たいめいけん」だ。
日本橋界隈で、川が見える店はこの店ともう一軒だけみたい。

ランチタイムは混むだろうから、はずした時間に訪問。
この店、有名店に珍しい通し営業をしている。
ランチよりディナーに近いような時間だったが、
それでも店内には数組の客がいて、もうビールを酌み交わしている。

テラスに出たいと所望すると、ベテランらしいホールの女性が、
「風強いですよ。いろいろ飛んじゃうからね」
と注意しつつ案内してくれた。
確かに、川風が吹き付け、紙ナプキンやメニュー表が危ない。


看板メニューのタンポポオムライスではなく、
海老グラタンを頼んでしばし待つ。
背の高いビルが建つという川向うには、
巨大なクレーンや重機がせわしなく働いている。
川面には、警戒船や台船など、働く船が行き交い、
その上にも重装備の働く人たちが乗っている。

だってこの川の上にかかる高速道路は、
これから撤去され、地下に潜るんだもの。
近隣の区画も再開発で大きく姿を変え、
水辺都市東京のメインとなる街になっていくんだもの。

グラタンは、ベシャメルソースがなみなみとかけられ、
海老もたくさん!
口当たりがよくて熱々で、川風の中でもおいしくいただけた。


レジの後ろに、都市計画の完成図が掲げられている。
「このお店も建て替えなんですか?」
「川向うが完成したら、そっちに入るんですよ」
では、このテラスで食べられるのも今のうちってわけか。

でも、空を遮るあの高速道路が撤去されたら、
今は川に背中を向けているビルも、
一斉に川の方を向くのかもね。
そしたら、日本橋を眺めながら、川風に吹かれ、
食事やお茶を楽しめる店が増えるのかもしれない。
期待。

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