講談社学術文庫、清水勲著
フランス人漫画家ジョルジュ・ビゴー(1860~1927)が,
明治16~17年に描き、
フランスで出版された、明治期の日本の「職業」を解説したもの。
写真の少ないこの時期にあって、資料的価値が非常に高い。
激動の明治期にあって、
さまざまな職業が雨後の筍のように生まれては消えていった様子も描かれている
こういうのを見ると、
いつだってこうだよな、仕事がうまくいかなくなったって気に病むことはない、
次行こ次、と切り替えていけばいいんだ、と楽しくなる。
ほかにも、明治時代ならではの面白い記録が散見して読み応えがあった。
「家族は自分の妾について、太政官に届ける決まり(蓄妾届)があった」
“蓄妾”というワードに衝撃を受けた。さすが日本の明治時代。
「明治10年、西南戦争が勃発すると、
佐野常民らが博愛社を創立して戦時救護を行った。明治20年、
博愛社は日本赤十字社と改称」
意外に早かった日本の赤十字。
「顔を大きく強調して描く肖像漫画は“ジャルジュ”といい、
当時のフランスで流行していた」
フランスの大首絵。
「日清戦争では戦死者1万3000人中1万1000人が脚気・凍傷などによる戦病死」
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「『朝野新聞』明治22年9月26日号は、ドイツ参謀少佐ミッケルが、
明治20年に九州で全国の参謀官を集めて行われた大演習を見学した経験から、
日本の将校の欠点を次のように指摘している、と報じている。
(1)日本将校は事を容易に為し得べきものと妄想する癖あり」