旅先で入った食堂は、古民家の土間がそのまま調理場にもなっていて、
調理の様子を全部見ることができる。
大鍋の前に気のいいおばちゃんが陣取っていて、チャーハンを作るらしい。
おもむろにバター一個をごはんの中に投入し、
「包みたくなるよね〜
と不敵に笑いながら炒め始める。
出来上がったバターまみれチャーハンを食べようとしたが、
さっきから怪しい二人組の男につけられているのに気づく。
チャーハンは包んでもらい、こっそり脱出する。
人気のない並木道を急ぎ足で逃げるが、すぐに二人が追ってくる。
気づかないふりをしながら歩をゆるめると、
先回りしようとした二人が一瞬追い抜いた瞬間、
私は横道にそれてダッシュで逃げる……
(チャーハンはキムチか明太子味)