HSPの自覚

HSPという言葉は知ってはいた。
でも、それが自分のことだとは思ったことがなかった。
「繊細さん」という呼び方がすでに、
自分とは無関係な響きに聞こえた。

私、大ざっぱだし、ザツだし、
どんなにコーヒー飲んでも眠けりゃ寝ちゃうし。

ところが、コロナで家族全員在宅を余儀なくされた時、
自分の意外な「繊細さ」に気づくことになった。

何しろ、「音」に滅法弱い。
そこには以前から気づいていたのだが、
長らく続けていた在宅ワーク環境に家族が入り込むようになったとき、
はっきりわかった。

人が立ったり座ったりする音だけじゃない。
紙がこすれる音、ちょっとした咳払い、
それらが自分以外3人分聞こえてくるようになると、
もはや仕事どころではない。
気が散って気が散って、何もできないのだ。

耳栓はほとんど役に立たなかったので、防音用のイヤマフを買った。夏だったので暑くて蒸れて使い物にならなかったし、音というものは、完全に遮断することはできないことを再確認しただけだった。

音を遮ることができるのは音だけ。
試行錯誤の末、ノイズキャンセリングイヤホンでホワイトノイズを聴くことで、
どうにか家族の立てる音から逃れることができた。

私がこんなに苦労しているのに、家族は一向に音が気にならないようだ。
そういえば私だけ、運転するときにラジオや音楽が聴けない。
会話はできるんだけど、それ以外の音が聞こえてくると、
まったく思考が働かなくなってしまい、
とてもじゃないけど運転なんてできない。

この頃になってようやく、
「私だけ、家族と違う体質なのかも……」
と思うようになった。


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