父さん、皿洗いからだよ!

最近は、あの伝統番組『きょうの料理』も、ビギナー向けやシニア向けなど、
いろいろな視聴者を対象とした番組作りをしているらしく、
番組表に『父さんのきょうからキッチン』というタイトルが掲載されていた。
「父さん」が豚カツを作るらしい。
揚げものって、主婦でもあんまりやりたくないジャンルだけど、大丈夫なのかな。

ひき肉料理も意外とハードル高いよね。玉ねぎのみじん切りと、手がベタベタになるこね作業……

番組を観てみた。ベテラン女性料理家の指導のもと、
シニア男性アナウンサーが甲斐甲斐しく豚カツを作っている。
パン粉の付け方から揚げ方から、
見栄えのよさを念頭に置いたオーソドックスで丁寧な料理。
「パン粉は両手でつけちゃダメなんですね」
はいいけど、
「油の温度は170度です」
って、どうやって計るのかの説明はない。
テキストには書いてあるのかもしれないけど、全員がテキスト買うわけじゃないし、
みんなが温度表示のある最新のガスコンロ使ってるわけでもないだろう。
お父さんたち、わかるのかな。

そして案の定!! 番組では豚カツを作っただけなのであった。
いや、展開料理として、残った豚カツを利用して作るカツ丼(おいしそう)
のレシピも紹介されていたが、
いちばん肝心な、使った油の処理については、一っ言も言及されていなかった。
いちばん大事なの、それだろう!!

これをうちのオトーサンに見せようとは思わないな。
どんなにおいしい豚カツを作ろうが、油の後始末ができないんじゃ何の意味もない。
ましてやこっちが始末させられるんだったらたまったもんじゃない。
『きょうからキッチン』で今までどんな料理を作ってきたか知らないが、
私がこの番組を作るとしたら、いちばん最初に「皿洗い」をやらせるね。
ていうか、皿洗ってくれるのがいちばん助かるもん。

「料理」って、「料理を作る」だけで完結するわけじゃない。
スーパーで食材を購入する、それも、その時にいちばん安くて新鮮でおいしそうで、
家族がみんな好きなもの、そこから始まる。
献立を決めて買い物に行くなんてめったにあることじゃない。ある食材で作るんだ、料理は。そして、料理を作って食べたら必ず洗い物が出る。
残り物の保存、食べきる方法、ゴミの処理もしなきゃならない。
生ごみ、プラごみ、資源ごみの分別は? 
その家によっても違う揚げ油の処理は? 

これ全部できて初めて料理だもんね。
料理だけ覚えてもらっても困るんだ。
正直、豚カツなんかスーパーで買ってくりゃいい。父さん、まずは皿洗いからだよ!

あと、
「優しそうなおばさんが自分より少し若いおじさんに教える」
「おばさんは優雅にテキパキと料理し、おじさんはオタオタついていく」
というステレオタイプな絵ヅラもだいぶ違和感出てきた。
教えるのが「白衣にネクタイの板長」だったらどうなるかな? 会社の延長みたい?? 
でもキリっとして意外にいいかも。
などと一人ブツブツ見終わってしまった。

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