吊るすとラク

この前、ちょっと風変わりな人を見かけた。

昔の「オタク」風の風貌の男性で、
どうやら推し活遠征をしているらしい。
何かがぎっしり詰まったリュックが足元にあり、
何より風変りだったのは、
首から紐でいくつもの透明なポーチをぶら下げていたこと。

ポーチはやや丈夫なファスナー付きのビニール製で、
一つには何かわからない紙類が、
もう一つにはさまざまな色のサインペンが、
もう一つは下になっていて見えなかったが、
いずれもぎっしり詰まっていた。

かなり重そうだけど、たぶん彼にとっては使い勝手がいいのだろう。
いろいろなものを書き留めたり、書いたものを分類したり、
そういうことに使っているようだ。

「吊るす」って本当に便利。
同じ数のものを平面上に並べたら、
すごく広い面積が必要になるし、
それらを畳んだり重ねたりすれば面積は減らせるけど、
今度は探し出す・取り出すのがタイヘンになる。

その点「吊るす」は、占める平面が少なくて済む上に、
検索性が格段に高い。

私はインドネシアやベトナムに行くのが好きなのだが、
東南アジアの国々で見かけるちょっとした売店や屋台は、
この「吊るす」ディスプレイを実に巧みに駆使していて感心する。

女性一人で押して歩けるような小さな屋台に、
びっくりするほど大量の菓子類が吊るされていたり、
市場の洋品店に、膨大な枚数のシャツやドレス、
バッグ類が吊るされていたりするのを見ると、
「吊るす」って優秀な収納手段だなあと思わずにはいられない。

掛けたり戻したりが容易で、一目で見つけられる「吊るす」収納だが、
欠点もあって、吊るし方をよくよく考えないと、
乱雑で汚らしく、かえって見つけにくくなってしまう。

でも、たたんだりきれいに揃えたりするのが苦手なら、
とりあえず吊るしておけば、
最低、床の上にモノを置かずに済むというメリットがあるので、
忙しい人、疲れている人にはいい方法だと思うんだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です